「スターウォーズ/フォースの覚醒(Star Wars: The Force Awakens)」
「スターウォーズ/フォースの覚醒(Star Wars: The Force Awakens)」。
→(1)JJエイブラムス監督は今作の脚本を考える上でまずEP6の後どうなるかを他の脚本家と話し合ったとインタビューで答えていた。詳細は不明だがSWファンにとって最大の興味は「ルークはどうなる?」「ルークはどこに?」という点だろう。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
→(2)小説やゲームなどではジェダイオーダーを復活さることになっているが予告編を見ると、エイブラムスの考えはどうやら違うらしい。予告編でハンソロがジェダイや暗黒面が現実に存在すると話していることからEP7ではフォースやジェダイといったものはもはや失われているのではないだろうか。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
→(3)思えば旧三部作の時点でフォースは半ば伝説と化していて、ハンソロも迷信と切り捨てていた。そしてEP6終了時点でジェダイはルークしか生き残っていない(潜在的なフォー・スセンシティヴは多くいるはずだが。レイアも含め。)。つまりジェダイの行く末はルークに委ねられているのである。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
→(4)そしてEP7の時点でフォースが失われているとすればルークはジェダイを封印したということになる。ルーク自身も姿を消しているのだろう。しかし、カイロレン等ダークサイドの台頭によってそれに対抗する力即ちジェダイ=ルークを探し求めることになるという物語になるのではないか。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
→(5)これは観客の「ルークはどこに?」という疑問ともリンクするし、予告にルークを出さない理由も分かる。また制作サイドは旧作メンバーの役割の比重は前作とは異なるといっていたが、そのコメントとの整合性も取れる。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
ほぼこの通りでした(ドヤ顔)
オープニングクロールで
「ルークが消えた!」
と出た時点でガッツポーズしてしまった。
得意げに書いてしまったが、しかしこの程度の脚本予想はスターウォーズ・ファンであれば誰でも思いつくのだ。ここが重要なところで、JJエイブラムスはオールドファンの「お約束」を全く外さなかった。監督としての「我」を殺し、"オールドファンのため"今までのスターウォーズをそっくりそのままトレースしているのだ。
特に今作「EP7(フォースの覚醒)」は、伝説の始まり、「EP4(新たなる希望)」のプロットを忠実になぞっている。
→(6)またJJは(特に古参の)ファンの求める部分を外さない手腕で知られる。SW全6作のプロットは実は単純で新旧三部作ともに同じ事を繰り返しているし、セルフオマージュが満載の作品だ。EP5、6の脚本家ローレンスカスダンが参加していることも考えるとそこを変えてくる事はないだろう。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
例えば、両作品のオープニングから主役登場までの展開を比較するとよく分かる。
~EP4(新たなる希望)~
機密情報を持つレイア(キャリー・フィッシャー)が帝国に追われる。
↓
レイアは機密情報をR2-D2にたくす。
↓
ダースベイダー(デビッド・プラウズ(演)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(声))登場。レイア捕縛される。
↓
R2-D2(とC-3PO)が砂漠の惑星タトゥイーンとルーク(マーク・ハミル)が出会う。
~EP7(フォースの覚醒)~
機密情報を持つポー・ダメロン(オスカー・アイザック)がファーストオーダーに追われる。
↓
ポーは機密情報をBB-8にたくす。
↓
カイロ・レン(アダム・ドライバー)登場。ポー捕縛される。
↓
BB-8が砂漠の惑星ジャクーでレイ(レイジー・リドリー)と出会う。
このように全く同じである。この後も、主人公の導き手(この役回りは重要である)で(ハン・ソロ=ベン・ケノービ)に出会う、敵の最終兵器(スターキラー基地=デス・スター)は惑星を破壊する威力、導き手と共に最終兵器に乗り込みバリアを解除する……など、数え挙げればキリがないほどだ。
このように「EP4をなぞる」方針で進む今作であるが、この方針はある重要な問題を監督につきつけたに違いない。
→(7)上記の予想であればEP4の序盤、帝国に対抗する為にジェダイのオビワンを探し求めるというプロットにも合う。また、EP1とEP4共に終盤物語の転換点として大きなウェイトを占めるのが、師匠の死だ。EP7のラストでも物語の導き手になりうる誰かの死が待っていると予想している。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
EP4(新たなる希望)では物語の導き手、つまりオビワン(ベン)・ケノービが死亡するのだ。
これはつまりEP7(フォースの覚醒)には"犠牲"が必要となるということを意味する。
ちなみに私は、
→(8)そしてそれは恐らくルークだ。これはEP8以降霊体として復活したルークとその娘レイ(と確定はしていないがハンの娘だとしても血縁関係)の、初のスカイウォーカー同士の師弟関係が生まれるといいなという希望も多分に含んでいる。→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20
と予想をしたが、思い切り外してしまった。
しかし私は英断であったと思う。
ハン・ソロはスターウォーズ世界の中でもトップクラスの人気キャラクターだ。
それだけにこれから新しいサーガを描いていく上でハン・ソロの扱いには慎重にならざるを得なくなる。時に足かせにすらなるだろう。
JJエイブラムスはEP8以降の監督はしないことが明言されている。つまり彼の仕事はこれからの土台構築だ。彼は次作以降の為に、あえて「ハン・ソロ殺し」の咎を背負ったのだ。
退場のさせ方も良い。息子であるカイロ・レンに殺される。
カイロ・レンの側に立てば、これは重要な意味を持つ。
カイロ・レンは明らかに未熟な悪役として描かれている。カイロ・レンのライトセーバー(十字のライトセーバー!)の光刃が揺らいで見えるのは、その未熟さを表現しているのではないだろうか。
その未熟なカイロ・レンがこれから(ベイダーのような)カリスマ的な悪役として成長していく為には「父親殺し」(オイディプス王)という通過儀礼を経なければならないのだ。
またカイロ・レンはダースベイダーの信奉者である。
これはまさに我々スターウォーズ・ファンのことだ。この物語で我々が感情移入すべきなのは、実は彼なのである。
カイロ・レンをはじめとして、JJエイブラムスは旧キャラクターを大事にしながらも、新しいキャラクターを魅力的に描いた。これがJJエイブラムスの最大の功績だろう。
レイやフィンの成長は物語の軸になりうるし、ポー・ダメロンのいぶし銀の活躍はこれからもファンの目を引き付けるだろう。
まさに彼はこれから続く新しいスターウォーズ・サーガの堅固たる基礎を構築することに成功したといえる。
映画はレイとルークの出会いで終わる。
これから先どのような展開になるのだろう。
JJエイブラムスが整えた下地はどのような物語も許容する懐の深さがある。
予想にはこうツイートしたがどうなることか…。
→(9)また、新新(分かりにくい)三部作全体のプロットとしては、ジェダイオーダーの復活をレイが主導していく流れになるのではないか。これによって主人公レイが女性である必然性が生まれてくる。新たなジェダイオーダーとSWサーガを女性であるレイが生みだすのだ。(完)→
— ゆー (@probiewan) 2015, 10月 20